腫瘍の文献
戦うにはまず、敵を知ること。
そして、敵の勢力を知ること。
戦場の状況を知ること。
それをふまえたうえで戦力、武器の選択をし闘っていく!!
それは、まさに戦争みたいなもんです!
ただ、すべてが勝つか負けるかでは、ありません。
勝つなら、圧勝!!
負けるなら、僅差!!
引き際も重要です。
これまでの内容で、どの項目が、どこに当てはまるか理解していただけたと思います。
ここでは、腫瘍の最新情報を飼い主さんに、いち早く伝えられるよう頑張ります!!
Doxorubicin and cyclophosphamide for the treatment of canine lymphoma:a randomized,placebo-controlled study
ドキソルビシン(以下DXR)とサイクロフォスファマイド(以下CPM)による
犬のリンパ腫の治療:無作為化ープラセボ研究
DXRで治療した、犬の中央生存期間は5.7~9ヶ月である。
犬たちは多剤併用プロトコルで治療した方が、中央生存期間は延長するので、許容できる毒性を維持している間、犬のリンパ腫患者に対してCPMの追加が、改善をもたらすかどうか、調べていた。
多中心型リンパ腫、ステージⅢ~Ⅴの32匹の犬たちが、DXRを週3回、計5回投与。
合わせて4週間のプレドニゾロン漸減投与を行った。
これに対して、無作為にCPMかプラセボのどちらかを同時投与した。
17匹にDXRとプラセボ、15匹にDXRとCPMを投与した。
反応、毒性、無進行期間と、中央生存期間を評価した。
DXRとCPMのコンビネーションはよく許容され、DXR単独をこえる有害反応の増加はなかった。
CPMを投与された犬では、結果として数的な改善にも関わらず、無進行期間、中央生存期間の反応率において、統計学的な改善はなかった。
っていう話なんですけど、どうでしょうね。
トータルの検体数が少ないですけど、やっぱりそうかみたいなところもあります。
リンパ腫だけでなく、例えば猫の乳癌とか、このプロトコルを使う可能性のある
他の病気でもだしてもらいたいですね。
The Diagnosis and Prognosis of Synovial Tumors in Dogs:35 Cases
滑膜腫瘍の診断と予後:犬の35ケース
滑膜肉腫は、滑膜の最も共通した腫瘍と報告されている。
犬の滑膜腫瘍35ケースの回顧的研究では、滑膜腫瘍と診断されたものの大部分は組織球由来であった。
5ケース(14.3%)は滑膜肉腫で、免疫染色によりサイトケラチン陽性だった。
18ケース(51.4%)は、細胞形態学及び免疫染色でCD18陽性で、組織球肉腫だった。
6ケース(17.1%)が、組織学的パターンから、滑膜粘液腫であった。
残りの6ケース(17.1%)は、滑膜腫瘍で、バラエティーに富んだ肉腫であり
2例が悪性線維性組織球腫(アクチン陽性)、
1例が線維肉腫、1例の粘液肉腫と
2例の未分化肉腫だった。
ロットワイラーは、組織球肉腫が多く、ドーベルマンは滑膜粘液腫が多い。
平均生存期間は、滑膜肉腫の犬で31.8ヶ月
組織球肉腫で5.3ヶ月
滑膜粘液腫で30.7ヶ月
他の肉腫では、3.5ヶ月だった。
予後をフォローアップできた犬の中で
転移性疾患は発現したものは、滑膜肉腫で25%。
組織球肉腫で91%。
滑膜粘液腫は0%。
他の肉腫では100%認めた。
犬の滑膜腫瘍の予後の予測や、診断の為に、サイトケラチン、CD18、アクチンによる免疫染色は、推奨される。
で、要するに以前に滑膜肉腫って呼ばれてたものの中には実は、由来の違うものが混じってたってことです。
この由来を見つけるには、特殊な染色方法を駆使してこれに染まれば、この系統。
こっちにも染まるから、この由来はここだ。みたいな。
それを突き止めてどうするのか・・・・。
こいつを突き止められるからこそ正確な治療、正確な寿命、治療反応などを飼い主さんに伝えられるんですよ。
Combination CCNU and Vinblastine chemotherapy for canine mast cell tumours:57cases
57症例の肥満細胞腫がある犬に、CCNUとVinblastineっていう
抗がん剤を併用したらどうなるかって話
この研究の目的は、犬の肥満細胞腫に、CCNUとVinblastineっていう抗がん剤を併用したら、どれくらい効果が出るか?どれくらい毒性がでるか?を調べること。
56匹の犬が持つ、57個の肥満細胞腫を対象にし、内訳は、57個の肥満細胞腫のうち、37個が肉眼病変、ようするに目に見えた腫瘍があるもの、20個が顕微鏡的病変、こいつは手術をしたけど不完全切除だったものと、完全に切除できたけど抗がん剤が適応になる、悪性度が高かったものである。
これらのうち、57%がこの抗がん剤の組み合わせに反応し、効果の持続した中央期間は52週間だった。
肉眼的病変を持つ犬の、抗がん治療開始から、腫瘍が進行するまでの中央期間は30週間であり、抗がん剤を投与してから、亡くなるまでの中央期間は35週間であった。
顕微鏡的病変を持つ犬では、腫瘍が進行するまでの中央期間は35週間であり、亡くなるまでの中央期間は48週間であった。
毒性は、54%の犬で認められたが、ほとんどがゆるいもので、この投与方法は、犬の肥満細胞腫に有効である。
ちょこちょこでてきた中央期間っていうのは、グラフで描くと、山みたいになるんだけど、その山が一番高いとこのことだから、それ以上長生きする子もいるし、短い子もいるんでよろしくお願いします。
Cyclooxygenase-2 expression in canine intracranial meningiomas
犬の脳腫瘍の中の髄膜腫って腫瘍にCOX-2っていうのが発現してるっていう話
髄膜腫は、脳腫瘍で最も一般的な腫瘍である。
犬の髄膜腫に、外科治療、放射線治療を施したにもかかわらず、治療の効果不足による、神経障害、死という問題を残している。
COX-2の過剰な発現は、悪性腫瘍、多発性腫瘍で調査されてきており、COX-2の抑制治療は、自然発生性の腫瘍、実験的な腫瘍モデルにおいて、予防、治療の両方で行われてきた。
この研究の目的は、犬の頭蓋内髄膜腫における、COX-2発現を評価することである。
免疫組織学的、ウエスタンブロットによる分析で、正常な犬の脳組織において多くのポイントからCOX-2の発現が認められた。
そして、87%の頭蓋内髄膜腫で、COX-2に対する免疫反応が認められた。
COX-2発現と、腫瘍のグレードに有意な相関関係は、認められなかった。
髄膜腫の発生における機徐と同様に、中枢神経においても、COX-2発現の占める、生理学的な役割をはっきりするために、さらなる検証が必要である。
この話は、免疫療法の所で触れたCOX-2阻害薬っていうのが、使えるかどうかの予備実験みたいなものです。
正常な脳組織にも、COX-2が発現してるのでCOX-2阻害薬が有効かどうかはわからないけど、使ってみる価値はあるんでしょうね。
この、髄膜腫っていう腫瘍だけど、動物の脳腫瘍では一番多いです。
基本良性なんだけど、髄膜腫のいかんところは通常の良性腫瘍と違って、奥まで浸潤することがほとんど。
猫は、浸潤がほとんどないから、ポロっと取れるんだけど。
犬は、浸潤してるものがほとんどだから、超音波の腫瘍粉砕装置があるんだけど、それで削ってくことになります。
でも、やっぱり再発起こすこともあるから、放射線組み合わせたりCOX-2阻害薬みたいなのを組み合わせたりして、闘うんです。
放射線単独でも、かなりの縮小効果はあります。
報告も多数ありますから。
これからのリサーチ結果次第で、COX-2阻害薬の有効性が出てくるだろうことを願って、
お し ま い
Adjuvant gemcitabine after surgical removal of aggressive malignant mammary tumours in dogs
犬の悪性度の高い乳癌に、外科的切除後に補助治療として、ゲムシタビンを投与したよって話
犬の乳腺腫瘍は、その50%が悪性で、多くがゆくゆくは再発、転移するにもかかわらず一般的には外科治療単独で治療される。
この試験では、犬の臨床ステージ4、5の悪性度の高い乳腺がんで外科的切除単独か外科的切除に、補助的治療として週1回のゲムシタビンの投与を少なくとも4サイクル行った。
ゲムシタビンは、静脈点滴で800mg/m2投与した。
研究の目的は、悪性度の高い乳腺がんを手術し、局所再発、遠隔転移の危険性が高い犬の患者で、局所再発までの期間、遠隔転移を起こすまでの期間、生存期間に与える、ゲムシタビンの有益な影響を調べることである。
抗がん剤を投与された犬で、生存期間との関連因子すなわち避妊去勢の有無、体重、年齢、臨床ステージ、腫瘍の大きさ、組織学的グレード、ゲムシタビンの投与回数を評価した。
最後に、抗がん剤の投与と関連した、急性毒性とQOLを評価した。
外科治療単独、外科治療後のゲムシタビンの投与を受けた犬で、再発までの期間、遠隔転移を起こすまでの期間、生存期間に有意差は認められなかった。
ゲムシタビンの投与を受けた犬のグループで、多くが生存期間に明確な関連があった。
ゲムシタビンはよく許容され、血液、消化器毒性を発現した犬は認められなかった。
現在の投与量では安全であるにもかかわらず、外科的切除後の補助的治療としてのゲムシタビンの投与は、悪性度の高い乳腺がんの犬で
推奨されていない・・・。
QOLっていうのは、動物の生活の質のことです。
この論文は、結局は有意差が出ていない。
有意差がないっていうのは、2つのグループすなわち、今回で言うところの、外科単独と外科プラス抗がん剤の間に明らかな差がないよってこと。
この抗がん剤は、放射線の感受性を上げるために投与されたりとか、インスリノーマの肝臓転移に動脈に直接投与されたりとか、日本で報告があるけど、そんなにばしばし使われているもんじゃないです。
現時点で、抗がん剤が、乳腺がんに効くであろう、いや反応しているっていう論文はいくつかあるけど、この手の抗がん剤に関しては報告が少ないんです。
有意差が無いにしろ、いろんな研究がされて、こいつ効きますよって論文が出てほしいです。
Carboplatin and piroxicam therapy in 31 dogs with transitional cell carcinoma of the urinary bladder
犬の膀胱移行上皮癌の31症例に対してカルボプラチンとピロキシカムっていう薬を併用したらどうなの?って話
膀胱の侵襲性移行上皮癌、薬物療法への反応が乏しい。
カルボプラチンとピロキシカムの併用は、人の移行上皮癌に形態が似ている犬の移行上皮癌に対して、有望視されている。
カルボプラチンとピロキシカムの併用における第2段階の臨床試験は、自然発生性で、病理組織学的検査で確定された犬の移行上皮癌31匹で行った。
完全な腫瘍ステージングは、治療前、治療期間の6週間目で行った。
29匹において、治療反応の内訳は部分寛解11匹、無進行13匹、進行5匹。
31匹のうち、2匹は腫瘍ステージング決定前に死亡した。
消化管毒性は23匹で認め、血液毒性は11匹で認めた。
最初の治療開始から、死亡するまでの中央生存期間は161日。
カルボプラチンとピロキシカムの併用は、40%の犬に寛解へ導きピロキシカムはカルボプラチンの抗腫瘍活性を増加するという証拠を見つけた。
しかし、移行上皮癌に対するこのプロトコルは、頻繁な毒性の軽減、
寿命の延長には、影響しなかった。
ピロキシカムはおなじみCOX2抑制薬として痛み止めによくつかわれます。
カルボプラチンは抗がん剤。
この併用の効果は、いかに・・・
ってことですけど、カルボプラチンだけの反応率が大体10%未満ぐらいなんで、ピロキシカムの影響が大きいかなぁ。
ピロキシカム単独でも生存期間は7ヶ月ぐらい。
ってことは、ピロキシカムだけの方が効果的。
このプロトコルは、結局毒性が強く出るので報告者自体も推奨できないと結論づけています。
この腫瘍は、ホントに悪くていろんな治療法が模索されている段階なんでピロキシカム単独よりももっと効果的な治療法が出てほしいものです。
今のところ、一番長いのはミトキサントロンっていう抗がん剤とピロキシカムの併用で中央生存期間12ヶ月って報告でしょうか。
Matched Pair Analysis Comparing Surgery Followed By Radiotherapy and Radiotherapy Alone for Metastatic Spinal Cord Compression
転移性腫瘍による脊髄圧迫に対する手術+放射線治療と放射線単独治療を
比較しましたよって話。
転移性腫瘍による脊髄圧迫(MSCC)の適切な治療方法については議論がある。
減圧術と放射線治療の併用療法が放射線治療単独よりも優れていることが
報告されているが、小規模な比較試験の結果に過ぎない。
さらなる比較試験によって手術の役割をより明確に得るのかどうかを検討した。
方法
手術とそれに続いて放射線治療された122例(手術併用群)と
放射線単独で治療された2296例(RT単独群)を対象とした。
両群から11の予後因子(年齢,性別、全身状態、原発巣の種類、
病変のおよぶ脊椎数、放射線治療時の他の骨転移、放射線治療時の内臓転移、
診断から当該病変出現までの期間、放射線治療前の歩行状態、
放射線治療前の運動障害の日数、放射線治療の線量)の内、
少なくとも10因子以上が符合する手術併用群108例とRT単独群216例について、
治療後の運動能、歩行状態、歩行の再会得、局所制御、生存について比較した。
また、サブグループ解析として適切な手術(減圧術+椎体固定)群、
椎弓切除のみの群、適切な手術を受けた固形腫瘍群、
椎弓切除のみを受けた固形腫瘍群について検討した。
結果
運動機能の改善は手術併用群27%、RT単独群26%であった(N.S.)。
治療後の歩行率は手術併用群69%、RT単独群68%であった(N.S.)。
歩行不能例のうち、手術併用群30%とRT単独群26%で治療後に歩行再会得した(N.S.)。
1年時の局所制御は手術併用群90%、RT単独群91%であった(N.S.)。
1年時の全生存は手術併用群47%、RT単独群40%であった(N.S.)。
サブグループ解析で両群間に有意差は示されなかった。
手術に関連した合併症は11%に認められた。
考察
PatchellらがMSCCに対して減圧術+放射線治療(併用群)がRT単独に比較して、
予後を改善することを報告した(Lancet 2005;366:643-8)。
しかし、Patchell試験の問題点として、
症例の集積に10年以上を要しており、
MSCC症例のごく一部を選択している可能性があること,
重要な予後因子での層別化がされていないこと(今回の11因子のうちの4因子のみ)、
両群合わせて101例とサンプルサイズが小さいこと、RT単独群の成績が悪すぎること、
などが挙げられる。
本研究では手術併用群とRT単独群で予後に差は認められなかった。
本研究も遡及的研究であり解釈には注意を要するが、
両者の比較試験の実施が正当化されるだろう。
したがって、改めてランダム化比較試験を計画する。
こうやってみると、放射線治療単独群の例数が
手術併用の群に比べ、大分多い気がするけど
やっぱり、手術併用しようが、放射線単独だろうが変わらないねってことです。
ちなみに、これ医学論文ですけど
獣医学にも当てはまるんだろうね。
ただ、獣医学で使われてる放射線には2種類あるので、
メガボルテージって機械には当てはめれるだろうけど、
オルソボルテージを使用するなら、手術も併用したほうが、
メガボルテージ単独に近づけると思います。個人的に。
それでは!!