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治療法は?

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治療法は?
一重に、腫瘍の治療と行っても、いろんな治療法があります。
ここでは、腫瘍治療の3本柱である、外科療法。
いわゆる一つの、手術ですね。
腫瘍を、物理的に取り除きます。
そして、化学療法。
これはおなじみの。抗がん剤のことです。 毒をもって毒を制す!
そして、もうひとつは、放射線治療。
これは、レントゲンを撮る際に出す、エックス線の何倍もの放射線を、機械から一気に出して治療する方法です。
そして、最後に報告されていて、エビデンスすなわち、根拠のある治療法からなぜ効くかは、わかってないけど効いちゃう治療法までを一個一個説明していきます。
頑張りましょう!!

外科療法

要するに、手術のことです。
手術にも、いろんな目的がありますがここでは、腫瘍疾患における、手術を説明します。

根治的手術

一般に、リンパ節郭清を含む、広範囲切除手術のことを言います。
リンパ節郭清とは、手術前に、腫瘍周囲付近の所属リンパ節の状況を確認し転移が認められるようであれば、腫瘍を切除する際に、一緒に切除することです。
広範囲切除とは、その腫瘍に応じて、腫瘍と正常な組織を含めて、一塊として切除することです。

腫瘍によって、正常組織をどれぐらいとればよいのか決まっているものもあります。
良性腫瘍では、悪性腫瘍と違って、周囲組織に浸潤することは比較的少ないため悪性腫瘍に比べて、切除範囲は狭くなります。
良性腫瘍の中でも、広範囲切除が必要となるタイプもありますので、ここは、診断結果で変わってきます。
悪性腫瘍では、悠長なことは言ってられません。
正常組織をどれぐらい取ればいいのか?論文に報告されているものもありますが、その場その場の状況によって変わります。
日本の腫瘍外科の第一人者である先生は、器質的障害が起きない範囲でできるだけ取る!!
と、言われます。
器質的障害とは、組織や細胞が元に戻らない状態になることですが、悪性腫瘍だからといって、やみくもに大きく切除すればいいわけではないんです!!
ただし・・・
やはり例外は、存在します。
腫瘍によっては、根治を得るために、手足を切断したりとかっていう、外貌の変化が、免れない時もあります。
ただ、どうしても同意の得られない場合は、他の治療法を組み合わせて治療していくことになります。

緩和的手術

その名の通り、今の症状を和らげるための手術です。
例えば、骨肉腫っていう骨の癌があるんですけど、こいつはもう極悪なんです。
足にできても、手術で足を切断しただけだったら、寿命はホントに短いです。
だから、抗がん剤と併用していくんですけど、骨肉腫の場合、ほぼ根治は難しい。

じゃぁ、なぜ手術をするのか?
それは、こいつはもう無茶苦茶痛いわけです。
骨がぼろぼろになるんで、こいつのせいで、二次的な骨折を起こすこともあります。
痛み止めも、ほとんど効きません。
こんな時、この激烈な痛みから、動物を解放してあげるための手術が、緩和的手術にあたります。

予防的手術

これは、その名の通り予防するための手術。
例えば、肛門周囲腺腫っていう腫瘍が、オスはできやすい。
肛門の周りの腫瘍を取っただけでは、またできる可能性がある。
そこで、この手の腫瘍はホルモンの関与があるため、去勢手術も一緒に行うのですが、このときの去勢手術が、予防的手術にあたります。

とりあえず、こんなところをあげてみました。
手術にも、種類がいっぱいあるんですよ。
その時その時にあった手術を、データをもとに、適応していくことになります。

化学療法

化学療法・・・
抗がん剤を使用する治療法ですが、僕が腫瘍について、を作ろうと思ったきっかけでもあります。
なんでか?
イメージが悪すぎるんですよ。
ドラマだとか、そういったイメージ。
一つ屋根の下2の小雪のイメージ。
これを読んだ後は、思ったほど怖くはないんだと、飼い主さんに思っていただけるよう、書いていくことにします。
イメージよくするために、いいことばっかり書くわけじゃないですよ。
ちゃんと怖いことも書きますから。
そいじゃ、いってみよう!GO!GO!

まず、抗がん剤が適用されるには、ポイントがあります。
1. 組織学的検査で、悪性腫瘍が立証されていること
2. 根治的手術など、他に根治させることが不可能な場合
3. 十分な実質臓器機能を持つ(肝臓が悪いとか、腎臓が悪い っていうのがない)
4. 感染症とか重篤な合併症がない


といっても、抗がん剤は毒性も強く、癌であるなら、すべての癌に同じ抗がん剤が適応になるとは限りません。
十分に、論文で有効性が確認されているとか、動物の状況、癌のタイプによっても使用する抗がん剤は、異なってきます。
抗がん剤の治療効果と、副作用は両刃の剣のようなものです。
その動物によって、副作用の出方も異なりますし、治療反応も異なります。
さて、ここで皆さんのイメージにある3大副作用である骨髄抑制、消化器症状、脱毛について書きます。

1.骨髄抑制

抗がん剤に関しては、悪性腫瘍のような活発に分裂を行う細胞に効果を発揮するわけですが、正常な細胞にも影響を及ぼさないわけではありません。
それは、血液を作ったりする骨髄も、活発に活動してますので抗がん剤からのダメージは、受けざるを得ないわけです。
通常量で、投与しても反応の鈍い子、反応しすぎてしまう子が存在してしまうのが事実です。
よって白血球、赤血球、血小板の値に注意しながら量を加減したり、投与間隔を伸ばしていったりします。
必ず出るわけじゃないですけどね。
入院が必要なほど、重篤になる場合は、全体の5%ぐらいしかいません。

2.消化器症状

抗がん剤によっては、吐き気、下痢を起こすタイプのものが存在します。
ただ、予防することが可能ですし、人間ほどひどくはないです。

3.脱毛

全部が全部毛が抜けるわけじゃないんです。
シーズーとか、プードル、シュナウザーとか、トリミングが必要な犬種は、抜けやすい。
猫ちゃんはひげが抜けます。

骨髄抑制、消化器症状は重症化すると、死に直結するので、最大限の予防策を行っていきます。
脱毛は・・・
少し我慢してください。抗がん剤の投与が終われば、また生えてきますから。
ってことで、抗がん剤=つらいってわけではないんです。
あくまで治療ですから、全身状態を確認しながら、その子その子にあった治療法を選んでいきます。
なんかの本に書いてありました。
抗がん剤=精神修行 じゃないって・・・
その通りだと思います。
副作用を回避しながら、腫瘍と闘いましょう!!

放射線療法

放射線・・・
メスを入れずに、腫瘍がなくなる!?
中には、そんなタイプの腫瘍もあります。
まさにスーパースター!!
そんな、放射線について勉強しましょう。

こんな風に、簡単に言っちゃってますが実は、どえらい難しい理論や、構造があるわけですが、まっ簡単に・・・

放射線がなんで、腫瘍に効くのか?

理論的にはめちゃくちゃ難しく、長ったらしくなるんですが、一言で言うと、放射線のエネルギーが腫瘍自体のDNAを破壊して、腫瘍細胞の分裂や増殖をさせなくしてしまうんです。
そうすることで、腫瘍は死んでいくことになります。

放射線治療の利点

抗がん剤に比べると、腫瘍細胞をやっつける効果が高い。
手術と違って、周囲組織や、器官の機能、器質的変化(組織や細胞が元に戻らないような変化)が少ない。
脳とか心臓のような、手術では治療不可能な場所にも効果が発揮でる。
治療範囲が広い。
などが、挙げられます。

放射線治療の欠点

放射線を照射す際びに、毎回全身麻酔が必要になります。
料金が高い・・・。
健康な周囲組織の放射線障害。
などが挙げられます。

放射線照射の方法にも、種類があります。
腫瘍のタイプ、照射する場所、などによって、放射線の量、何回照射するかは変わってきます。
いろいろ書きましたが、次は放射線障害です。
放射線障害は、大きく二つに分類されます。
ややこしくなるので、今回は書きませんが、脳組織の場合は、障害の出方がちょっと違うので、ホントはもっと細かいです。

まず1つ目は、早発性障害

治療開始1~2週間ぐらいから、出始めるのが多いですが、湿性皮膚炎(体育館ですっ転んだときにできるような、ちょっと濡れた感じの皮膚炎)、脱毛とかがあります。
脱毛は治療後、生えてくることもあるし生えないこともあります。
基本、重症化することはあんまりないです。
治療によく反応してくれます。
放射線治療が終われば、治ります。

二つ目は、晩発性障害

治療後6ヶ月とか、それぐらいしてから出てくるものです。
難治性の皮膚潰瘍とか、骨の壊死とかがあります。
これは、元に戻ることがないので放射線治療をしていくうえで、こういった症状を出さないように治療していくことが、ポイントとなります。

こんな感じで、スーパースターといっても副作用がないわけではないですが、腫瘍の特徴、動物の状態によって放射線治療が第一選択治療となる悪性腫瘍もあります。
しかし、行える施設が限られてしまっているので当院では、岐阜大学へ治療に行ってもらうことになります。

温熱療法

その名の通り、熱によって癌細胞を殺してしまおうって方法です。
方法は、色々ありますが、獣医療で最も使用頻度が高い、局所温熱療法と、その改良型っていうか、より効果を狙った光線力学温熱療法について、書きます。

局所温熱療法

腫瘍に特殊な光を当てて、腫瘍内部の温度を42度ぐらいまで、上げます。
そうすることで、正常な細胞は死にませんが、癌細胞は死んで行くんです。これを利用します。
獣医療で行われてるほとんどが、腫瘍の外側から光を当てるタイプか、腫瘍の内部に光の出る針を刺して、内部から温める方法です。
外部から光を当てる方法は、腫瘍内部の温度を上げるのが難しく、腫瘍に近接して光を当てるため、腫瘍表面の皮膚が、一時的に軽い熱傷のようになることがありますが、大きな問題になることはほとんどありません。
後で、書きますが、放射線や抗がん剤と併用するとなおさら効きます。

光線力学温熱療法

これは、温熱療法を行う前に、光感受性物質、ようするに光に反応する物質なんですけど、これを局所的に投与するか、全身投与します。
この物質は、癌細胞では、正常細胞に比べて、長く細胞内に残ります。
これに、特殊な光を当てることで、癌細胞のなかにある、光感受性物質が、活性酸素(最近はやりの老化の原因、フリーラジカルともいう)を出し、癌細胞を破壊します。
ここで、あてる光は、温熱療法で使用するものと同じなので活性酸素もつくりだしつつ、腫瘍の温度も上げるという、癌細胞にとってはダブルで攻撃を受けることになります。

  れらの治療法が、単独で行われることもあります。
が、腫瘍治療においては、使う必要があり、使えるものはすべて使い、癌細胞を徹底的に倒すことが重要です。
ひとつひとうの、治療にも限界はありますし、残った癌細胞は、バイオハザードのゾンビみたいに、復活しますから・・・
そこで、温熱療法の特性を生かして、併用されるものとして代表的なのが別のページで説明した、放射線療法と化学療法です。
放射線や抗がん剤も、効く段階、効かない段階がありまして、温度によって、抗がん剤の取り込み能力が変わる抗がん剤もあります。
要するに、併用することで効果をさらに上げてくれるってことですね!

免疫療法

免疫療法・・・
ホントに効くのか?
効いていないのか?
川平慈英風に言うとどうした免疫療法!!
これが、効いてぇぇぇ いるんです!!
効いてるんですよ。ホントに。
論文も出てるし、僕自身も実感してます。
それじゃ、免疫療法っていっても、色々あるんで、まとめていきます。

1. COX2阻害薬

どうやって効いているのか、正確なことはわかっていません。
いくつかの腫瘍で、COX-2ってのがはつげんしていることが、報告されています。
そいでもって、こいつをブロックっしてしまおうって薬なんですが、
効くものには絶大な効果を発揮します。
ある種の膀胱腫瘍や、鼻腔内腫瘍なんて抜群に効果を発揮します。
ただ、直接的に腫瘍を殺すわけではなく、腫瘍が成長するに必要な
血管の生成にCOC-2が絡んでいるため、
これをブロックすることによって、兵糧攻めにする感じです。

まったくもって、すごい薬です。
但し、あくまで補助的な薬だし、他の治療に併用するほうが効果を発揮するでしょう。
過度な期待をして、これでがんが治るなんて思わないほうがよいでしょう。
あと、副作用が全くないわけではありません。
長期的に使用する場合は、定期的に腎臓、肝臓の状況を確認するために
血液検査が必要だし、消化器障害、特に上部消化管出血を起こす可能性も
十分あるので、副作用を予防する薬が必要になることもあります。

2. シメチジン

胃腸薬です。
効果のほどは、大したことないと思いますけど、一応免疫調整作用を持っていることは確か。

3. その他サプリメント

プロポリスとかサメ軟骨とか・・・。
僕自身、これはそんなに期待してなかったんですけど、飼い主さんに調子が上がってきたとか、ちょくちょく聞くし、効果が確認されてる報告もあるんで、続けれる人には続けてもらってます。

こんなとこでしょうか。
免疫治療って言っても、まだ色々あります。
活性化リンパ球療法とかね。
この辺については、第二弾で書きますので、この辺で・・・。