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㈱水野動物病院

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質の高い獣医療を目指しています。

高濃度ビタミンC点滴

高濃度ビタミンC点滴治療は認定医の下で受けましょう!!

  • 高濃度ビタミンC点滴療法は、決して簡単な治療ではありません。
    多くが、がん治療として行われるため、がんの知識も必要になります。

    また、高濃度ビタミンC点滴療法について、獣医師の書いてるホームページもたくさんありますが、人用の知識を、羅列しているだけで、そこに記載のあるサプリメントを飲ますと動物がどうなるのか?

    もう10年前に論文になってるのですが、服用量によっては死亡します。
    要注意です!!

高濃度ビタミンC点滴??

  • 最近、ガンについての書籍でもよく目にする、高濃度ビタミンC点滴療法。
    飼い主さんにも聞かれることがちらほら。
    そんなこんなで、高濃度ビタミンC点滴療法について書いてみます。
    皆さんご存じのビタミンC。
    はい、そうですね。アンチエイジングに使用されたり、有名なモデルさんも何回か点滴に通ってます。
    そんなビタミンCに隠れた効果がありました。
    信じられないかもしれません。
    栄養素であるビタミンCが、高濃度になる時抗ガン剤に変身するのです。
    すなわち、量が違うだけでガン細胞も殺してしまうのです。
    ここで重要なのが従来の抗がん剤と違い、正常な細胞には一切害を与えません。
    重篤な副作用も起こさないのです。
    本当に効果があるのでしょうか??

高濃度ビタミンC点滴療法の効果?

  • もともと、人間のガン治療において使用され始めたのですが、日本を含め、世界各国で治療は行われています。
    実際問題、僕自身もホントに効果があるのか疑問でした。
    ただ、効果が認められている論文も発表されていますし、人間に投与される前には、どうしても動物実験が行われます。
    そんな動物実験においても、効果が認められているのです!!

抗ガン剤と何が違うのか?

  • 大きな違いは3つあります。
    1つ目:ビタミンCを高濃度で点滴をすると、抗ガン作用が生まれ、その効果は従来の抗ガン剤に引けをとらない。
    2つ目:従来の抗がん剤には強い副作用が出やすいのですが、高濃度ビタミンC点滴療法は、正常細胞に対してほとんど副作用がありません。
    3つ目:従来の抗がん剤ならいずれ効かなくなってきますが高濃度ビタミンC点滴療法は、ずっと同じ様に効き続けます。

高濃度ビタミンC点滴療法の具体的な効果は?

  • わかりやすく効果をまとめてみました。

    第1に天然の抗がん剤であるということ
    動物でも確認
    化学療法との併用が効果的
    放射線療法と併用するのにも効果的(論文あり)
    血液中には過酸化水素が存在しないため、流血中の白血病細胞には効果なし
    第2に免疫力をあげる
    ビタミンCはリンパ球を活性化する
    インターフェロンを増やす
    第3にコラーゲンを増殖させる
    第4に活性酵素を抑える
    第5に排毒作用がある
    第6に鎮痛効果がある
    第7にQOLが改善する
    大きく7つの効果があります。

じゃあ、従来の抗ガン治療はやめてしまおう??

  • それは、ちょっと待ってください!!
    高濃度ビタミンC点滴療法には、この様な効果があることが分かりました。
    ただ、ここで一番大事なことがあるんです。
    人間に対しても、効果があるのが証明されてますし、動物実験でも証明されてます。
    それをそのままワンちゃん、ネコちゃんのガンに使えるのか?
    ということが大きな問題となってくるのです。
    人間で効いたから、ワンちゃん、ネコちゃんに効くというわけではありません。
    効果を証明するには、十分な効果の検討が必要でありますし、残念ながら、ワンちゃん、ネコちゃんのガンに対して、高濃度ビタミンC点滴療法を行い、効果があったなんて論文も存在しません。
    「じゃぁ、なんで超高濃度ビタミンC点滴療法について、書いてんだ水野さんよぉ」
    なんて声が聞こえてきますが、もうちょっとお付き合いください。
    論文が存在しない理由は、まだ、誰もやってない治療だからです。

高濃度ビタミンC点滴療法の位置づけ

  • 腫瘍の治療法の中で、それぞれ有効な位置づけがあります。
    それぞれの腫瘍によって、治療法は様々ですし、有効な治療法の順位も変わってくるのですが、今現在、腫瘍治療の柱としては
    1. 外科療法
    2. 化学療法
    3. 放射線療法

    の3つに加え、温熱治療、BRM治療といったものがあります。
    高濃度ビタミンC点滴療法は、BRM療法に入ると思ってください。
    腫瘍治療において、外科療法、化学療法、放射線療法がレギュラーメンバー高濃度ビタミンC点滴療法は、スーパーサブ的な位置づけになります。

スーパーサブ?

  • そう、スーパーサブなんです。
    実際、当院で腫瘍治療を行う患者さんの中で高濃度ビタミンC点滴療法を選択される方もいますが、あくまで主軸の治療に、さらにこの治療法を加えるといった選択です。

    高濃度ビタミンC点滴療法を単独で行うといった選択肢は、よほどのことがない限り行いません。
    よほどのこととは・・・

    どの治療を行っても効果が無かった場合
    もはや手遅れで、少しでもQOLを上げたい場合
    飼い主様が望まれた場合

    が挙げられます。

当院での、高濃度ビタミンC点滴療法をおこなったケース

  • 化学療法と併用した場合、明らかな腫瘍消失/縮小ケースこそありませんが、
    化学療法後に、いつも少し元気が無くなっていたが、それが無くなった。
    化学療法後の吐き気が、無くなった。

    ガン末期に単独治療を行った場合、
    何をやっても食欲がなかったが、食欲が出た。
    高濃度ビタミンCを点滴すると、元気が出る。
    歩けなかったのに、歩けるようになった。

    といった、声を聞いております。
    現段階では、状況が悪化したケースはありません。

高濃度ビタミンC点滴療法の対象となるケース

  • 現在、有意な効果が証明された論文がないのではっきりしたことは言えませんが、
    1. 通常の腫瘍治療に加える
    2. 全ての治療が効かなかったケース

    などが、挙げられると思います。
    しかし少数ですが、ある種の腫瘍で副作用を起こした報告もありますのでもちろん、適応外も存在します。

高濃度ビタミンC点滴療法が実施できないケース

  • それじゃ、高濃度ビタミンC点滴療法が実施できないケースについて書きます。
    実施できない場合は、大きく分けて3つあります。
    1. 重度の心不全
    2. 腎不全
    3. 先天性G6PD欠損症

    これら3つがあげられます。
    先天性G6PD欠損症は、ちょっと聞きなれない名前の病気ですがどういうものかというと、赤血球の機能を保つために必要なG6PDっていう酵素が、先天的に欠損している遺伝性疾患で、イヌの3300頭に1頭の割合で存在すると、報告されています。
    G6PDが欠損してる、ワンちゃんに高濃度ビタミンC点滴療法を実施すると溶血性貧血を起こしてしまうんです。
    そこで、その遺伝子が欠損していないか確認するために事前に検査を必ず行います。

高濃度ビタミンC点滴療法の今後

  • 現段階では、スーパーサブとしか言えません。
    また、癌が治るわけではありません。
    先日、ある先生に、高濃度ビタミンC点滴を「癌が治るから」と勧められた飼い主さんから相談されましたが、単独で治療効果があると証明した論文もありませんし僕自身、単独で癌が治るとは思っていません。

    現在、僕自身所属している医師の「点滴療法研究会」では、獣医師部会が立ち上がり、現在獣医学領域では未知の領域である、高濃度ビタミンC点滴療法の最良のプロトコル作成に向けて準備している最中です。

    人間には無い副作用が、動物では報告されていますし、副作用がないからと言って、簡単に考えるのは危険だと思います。
    といっても、高濃度ビタミンC点滴療法の認定医は、全国に数人しかいないし
    なかなか、治療を受けること自体が難しいと思います。
    腫瘍治療をしていく中で、いかにガン難民を出さないようにしていくか・・・
    今後の課題になると思います。
    高濃度ビタミンC点滴治療を知らない先生は、山ほどいますし「そんなの効かないよ」っていう先生もいます。
    ただ、物事を否定するには、否定するに値する根拠がなければ否定はできませんし、スタッフにもそう指導しています。
    僕自身も、最初は否定的でしたが現段階では、どんなに勉強しても僕自身、この治療法を否定することができませんでした。
    今では、肯定派です。

    最後に、
    あくまで、サブ治療とういうこと
    この治療法は未知の領域であり、十分なエビデンスが存在しないこと
    副作用がないわけではなく、実施する獣医師が未然に防いでいるだけである

    これだけは、決して忘れないでください!!
    あきらめる前に、そして獣医師に治療法がないと言われたその日から始まる治療も、あると思います。