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腫瘍の検査って?

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腫瘍の検査って?

腫瘍の検査って?

腫瘍と闘っていくうえで、検査は絶対はずせません。
見た目で判断なんて、絶対できません。
神様じゃないですから・・・
腫瘍の治療を進めて行く上で、検査はどうしても必要ですが、検査といっても、たくさんあります。
下手な鉄砲、数うちゃ当たる・・・
そんなことをしていても、動物に負担がかかるのはもちろんのことお金、労力ばっかりかかるだけです。
意味がありません。
腫瘍診療を進めていくうえで、いかに的確に、合理的な診断を進めていくか!!
それが、もっとも重要なことです。
これから、書いていく検査は、一般的なものに関してだけ、書いてあります。
これが、すべてではありませんし、必要であれば、状況に応じて検査項目が、増えることがあります。
それじゃ、いってみよーー!!

バイオプシー、バイオプシー、バイオプシー!!

バイオプシー・・・。

これは、生検といわれるもんです。
腫瘍治療の大原則といっても、過言はないでしょう。

なぜなら、治療を成功させるためには、敵を知ることが重要だからです!!

まず、デキモノを見せていただいた場合、いきなり検査には、入りません。

飼い主さんとの話し合いにおいて、現在の状況は?、いつから?、増大傾向は?、既往歴は?
などの質問させていただき、ある程度の情報から、このデキモノが腫瘍なのか?そうでないのか?悪性傾向はあるのか?ないのか?
を判断していきます。

ここで、初めて検査に入っていくわけですが、バイオプシーには、いろんな方法があります。
ここでは、一般的な生検方法について、書いてみようと思います。

FNA

これは、細い注射針を、デキモノに刺して、その細胞を採ってくる検査です。
確定診断といって、このデキモノが何かを断言できることもありますが、通常、この検査では、デキモノが腫瘍なのか?そうでないのか?
腫瘍なら悪性腫瘍なのか良性腫瘍なのか?っといった、大体のあたりをつけるために、必要となってきます。

コア生検

これは、注射針よりも、少し太めの針を刺して、腫瘍の組織を採ります。
採った組織は、病理組織検査にまわし、それが何かを確認します。
これは、ある意味腫瘍の一部を採ってくるため、FNAに比べて、かなりの確率で診断がつきますが、どうしても採る組織が少ないために、これから説明する、切除生検に比べると正確性は劣ります。
FNAで、診断がつかなかったり、腫瘍によって、治療法が変わってくる場合に、必要とされる検査方法です。

切除生検

これは、手術により摘出した腫瘍を、病理組織検査に回して診断する方法です。
この方法は、腫瘍の種類が変わったとしても、治療方法や治療計画が、変わらない場合に実施します。

例えば、てんかん発作を起こす犬がいて、薬に反応しない子がいたとします。
MRI検査やCT検査をして、脳を圧迫する脳腫瘍が見つかりました。
てんかん発作を制御できない原因は、おそらくこいつのせいだろうと・・・。
この場合、細胞を採るためには、頭蓋骨を開けなければなりません。
細胞を採るために頭蓋骨を開けて、それが何か診断して、じゃっ腫瘍を摘出しますかってことで、また頭蓋骨を、開ける・・・・。
それでは、その子にも負担が大きすぎます。
こういった場合、脳腫瘍はどっちにしろ摘出するわけで、それがどんな腫瘍にしろ、治療法に変わりはありません。
こういう時に、切除生検が適応になります。

よく使われる方法をあげてみました。

ただ、他にも方法はいっぱいありますがそれは、やり方だけの問題であって、診断手順が変わってくることは、まずありません。

バイオプシーで、腫瘍の可能性が疑われた場合、次に、この腫瘍がどの程度広がっているのかを、確認する検査に移っていきますが、明らかに悪性腫瘍の傾向を示すのに、検査では、悪性腫瘍が疑われない。
そんな時は、とにかくバイオプシーを繰り返します。

腫瘍がどこまで広がっているのか?

デキモノが腫瘍と断定された場合、良性腫瘍であれば、転移することはまずありません。
悪性腫瘍は、転移を起こしてきます。

そこで、今この悪性腫瘍がどこまで広がっているのかを検査することになるわけです。
広がりを調べる検査方法は、腫瘍のタイプによって様々です。

一般に、悪性腫瘍である場合、腫瘍診療の常識でありますが、TNM分類っていうのがあります。

これは、なぜ分類するのか?

それは、現時点で悪性腫瘍がどの段階にいるのか?
根治できるのか?できないのか?
残された寿命は、後どれくらいなのか?
また、必要な治療法を選択するうえで、めちゃくちゃ重要になってくるからです。

TNM分類とは、
T:原発腫瘍の広がり(大きさだとか、浸潤具合)
N:領域リンパ節の状態(悪性腫瘍周辺のリンパ節への転移)
M:遠隔転移の有無(肺転移とか、悪性腫瘍周辺以外のリンパ節への転移)のことです。

詳しいことは、またいつかお話しますが、TNM分類を作成するために検査をしていきます。

検査項目については、血液検査、骨髄検査、レントゲン検査、超音波検査、CT検査、MRI検査、造影検査など、挙げるときりがありません。
ただ、これら全部を検査するわけではなく、必要な検査をチョイスしながら、診断を進めていきます。

例えば・・・
リンパ腫って呼ばれる悪性腫瘍をもつ、ワンちゃんがいます。
全身のリンパ節がはれてる。
FNAでリンパ腫は、確定しました。

リンパ腫には、ステージ分類がありまして、
ステージ1:一つのリンパ節に病変がある
ステージ2:二つ以上のリンパ節に病変があり、横隔膜を境にして頭側、しっぽ側に限局している
ステージ3:全身的なリンパ節病変
ステージ4:肝臓、脾臓に病変が及んでいる
ステージ5:骨髄に病変が及んでいる
で、サブステージとして臨床症状がない場合をa、ある場合をbとしています。

ってことでこの、分類を調べていくために、必要な検査としては・・・

触診で全身のリンパ節をくまなく探していきます。
胸の中、おなかのリンパ節はどうだろうか?ってことでレントゲン検査。

脾臓と肝臓はどうかな?ってことで超音波検査。

はれたりしてるんだったら、FNAで腫瘍の浸潤がないかを確認。

骨髄への状況を確認するなら、骨髄検査。

リンパ腫には、T、B細胞由来のものと、これ以外を含めて三つがあって、寿命にかかわってくるから、この確認が必要になります。

全身状態の確認は、血液検査。
ってとこまでいって、はじめて分類可能になります。

これで、今リンパ腫のどの段階なのか?
治療方針は?
寿命は?
などを、今までのデータを含め、解説することが可能になります。

どうですか?何となくわかりました。
TNM分類をあげておいて、リンパ腫のステージ分類の話かよって突っ込みたくなりますが、書いてて気づきました。

それについては、また後ほど・・・

今の全身状態は?

とにかく、見た目で判断できない全身状況。
肝臓は?腎臓は?他の機能は?
これを調べるには、血液検査が必要です。

手術をする前、抗がん剤を投与する前。
麻酔をかける前。
何をするにも、リスクをできるだけ減らす!
ってことが、重要です。

もし、血液検査で引っ掛かれば引っ掛かったところを治療していくことになるわけですが現状況で、背に腹が変えられない場合は、ありとあらゆる予防策をおこなって、手術や抗がん剤の投与に踏み切ることもあります。

通常は、延期したりすることがほとんどです。

この全身状態を把握しておかないと、治療のための手術、抗がん剤の投与で命を落とすこともあるのですから・・・。

治療はもう始まっている!!

北斗の拳の「おまえはもう、死んでいる」みたいなタイトルになってしまいましたが、今までの内容から、検査がいかに重要かわかってもらえたと思います。

病院に行って、これこれこういう検査をしましょう!
っていわれた段階で、お金がかかるなぁ~~、じゃなくて検査も治療の一つって思ってできるだけ協力してあげてください。

検査がなければ、本当の治療にも入れないのですから。
腫瘍に限らず、どの病気でも同じですけどね。

ってことで
検査については お し ま い